尊い(読み)トウトイ

デジタル大辞泉 「尊い」の意味・読み・例文・類語

とうと・い〔たふとい〕【尊い/貴い】

[形][文]たふと・し[ク]
崇高で近寄りがたい。神聖である。また、高貴である。たっとい。「―・い神仏
かむさびて高く―・き駿河なる富士高嶺を」〈・三一七〉
きわめて価値が高い。非常に貴重である。たっとい。「―・い命」「―・い犠牲を払う」
高徳である。ありがたい。
横川になにがし僧都とかいひて、いと―・き人住みけり」〈手習
[派生]とうとがる[動ラ五]とうとげ[形動]とうとさ[名]
[類語]高貴貴重珍重得難い珍しい稀有大切重要異色異彩珍貴珍稀大事だいじ肝要肝心緊要枢要かなめきも肝心要有意義意義深い千金耳寄り掛け替えのない

たっと・い【尊い/貴い】

[形][文]たっと・し[ク]《「たふとし」の音変化。やや古風な語》「とうとい」に同じ。「―・い教え」
あによめ贈物が…彼には―・かった」〈漱石それから
[派生]たっとさ[名]

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「尊い」の意味・読み・例文・類語

とうと・いたふとい【尊・貴】

  1. 〘 形容詞口語形活用 〙
    [ 文語形 ]たふと・し 〘 形容詞ク活用 〙
  2. 高貴である。品位が高くすぐれている。すぐれて価値がある。あがめ重んずべきである。大切である。たっとい。
    1. [初出の実例]「父母を 見れば多布斗斯(タフトシ) 妻子見れば めぐし愛(うつく)し 世の中は かくぞ道理(ことわり)」(出典:万葉集(8C後)五・八〇〇)
    2. 「帝子の崇(タフト)きこと、出処斯に在す」(出典:大慈恩寺三蔵法師伝承徳三年点(1099)九)
  3. 価値が高い。めでたく良い。立派である。貴重である。
    1. [初出の実例]「赤玉は 緒さへ光れど 白玉の 君が装(よそひ)し 多布斗久(タフトク)ありけり」(出典:古事記(712)上・歌謡)
    2. 「言はむ術(すべ)せむ術知らず極まりて貴(たふとき)ものは酒にしあるらし」(出典:万葉集(8C後)三・三四二)
  4. 効験があって重んずべきである。高徳である。
    1. [初出の実例]「その頃、横川に、なにがしの僧都とかいひて、いとたうとき人、住みけり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)手習)

尊いの派生語

とうと‐が・る
  1. 〘 他動詞 ラ行五(四) 〙

尊いの派生語

とうと‐げ
  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙

尊いの派生語

とうと‐さ
  1. 〘 名詞 〙

たっと・い【尊・貴】

  1. 〘 形容詞口語形活用 〙
    [ 文語形 ]たっと・し 〘 形容詞ク活用 〙 ( 「たふとし」の変化した語 )
  2. 価値が高い。すぐれた値うちがある。とうとい。
    1. [初出の実例]「童子貴に非ず、菩提心の尊き故なり」(出典:康頼宝物集(1179頃)中)
    2. 「それにつけても、たっときおぼえはいよいよ増りけり」(出典:宇治拾遺物語(1221頃)一二)
  3. 身分地位が高い。品位が高くすぐれている。とうとい。
    1. [初出の実例]「彼卿の祈の師に、大納言阿闍梨祐真とて、貴(タット)真言師あり」(出典:源平盛衰記(14C前)一)

尊いの派生語

たっと‐げ
  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙

尊いの派生語

たっと‐さ
  1. 〘 名詞 〙

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