安んずる(読み)ヤスンズル

デジタル大辞泉 「安んずる」の意味・読み・例文・類語

やすん・ずる【安んずる】

[動サ変][文]やすん・ず[サ変]形容詞「やすし」の語幹に「み」を添えた「やすみ」に、動詞「す」の付いた「やすみす」の音変化》
安らかになる。安心する。「この情勢ではまだまだ―・ずるわけにはいかない」
満足する。甘んずる。「こんな仕事に―・ずる自分ではない」
安心させる。「民心を―・ずる」
甘く見る。あなどる。
「汝がともがらまでおれを―・じをる」〈滑・浮世床・初〉
[類語](1安堵安心一安心気休め安全大丈夫安息人心地胸を撫で下ろす/(2甘んずる満足満悦充足飽満自足自得会心・充足感・充実感・自己満足本望満ち足りる心行く堪能たんのうする満喫する安住する・十分十全嬉しい楽しい面白い喜ばしい喜び愉快痛快結構喜悦有頂天納得慊焉けんえん三平思わしい上機嫌ご機嫌おんの字足りる足る舞い上がる満たす気を良くする溜飲りゅういんを下げる言うことなし気に意に適ううきうきうはうはわくわくいそいそぞくぞく

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精選版 日本国語大辞典 「安んずる」の意味・読み・例文・類語

やすん‐・ずる【安】

  1. ( 形容詞「やすし」の語幹に「み」の付いた「やすみ」に動詞「す」の付いた「やすみす」の変化した語 )
  2. [ 1 ] 〘 自動詞 サ行変 〙
    [ 文語形 ]やすん・ず 〘 自動詞 サ行変 〙
    1. 安らかになる。平安になる。安んじる。
      1. [初出の実例]「いくらか良心が安(ヤス)んぜんから」(出典当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉一一)
    2. 与えられた状態などに満足する。甘んずる。安んじる。
      1. [初出の実例]「門閥世襲(せいしう)に安じ身家を顧慮する所ある時は」(出典:新聞雑誌‐九号・明治四年(1871)八月)
  3. [ 2 ] 〘 他動詞 サ行変 〙
    [ 文語形 ]やすん・ず 〘 他動詞 サ行変 〙
    1. 安らかにする。やすめる。安んじる。
      1. [初出の実例]「綏定(ヤスム)じ」(出典:古文尚書平安中期点(950頃))
      2. 「如何してか天下を治め人民を安(ヤスン)じ候べき」(出典:太平記(14C後)三五)
    2. 甘く見る。軽く見る。あなどる。安んじる。
      1. [初出の実例]「汝が們までおれを安(ヤスン)じをる」(出典:滑稽本・浮世床(1813‐23)初)

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