接待(読み)セッタイ

デジタル大辞泉 「接待」の意味・読み・例文・類語

せっ‐たい【接待/摂待】

[名](スル)
客をもてなすこと。もてなし。「得意先を―する」「―係」
人の集まるところなどで、一般の人に湯茶などを振る舞うこと。
寺の門前や往来に清水または湯茶を出しておき、通りがかりの修行僧に振る舞うこと。接待茶 秋》「―の寺にぎはしや松の奥/虚子
[補説]曲名別項。→接待
[類語]応対応接接客人あしらい客あしらい客扱い客をするもてなす供応馳走ふるまう饗する相伴遇する歓待構いお構い愛想もてなし椀飯おうばん振る舞い造作

せったい【接待/摂待】[謡曲]

謡曲。四番目物金春こんぱる以外の各流。宮増みやます作といわれる。山伏姿の義経主従が奥州佐藤継信やかたで老母から接待を受け、弁慶継信忠信兄弟の最期を語る。

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精選版 日本国語大辞典 「接待」の意味・読み・例文・類語

せっ‐たい【接待・摂待】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 客をあしらいもてなすこと。もてなし。接遇。
      1. [初出の実例]「家の事をつかさどりて賓客を接待させたぞ」(出典:史記抄(1477)一二)
      2. 「来客のいと多く、接待(セッタイ)のいと濃(こまや)かなるは云もさらなり」(出典:露団々(1889)〈幸田露伴〉二〇)
      3. [その他の文献]〔呉志‐甘寧伝〕
    2. 行脚僧、旅僧を布施する法の一つ。門前・往来に、清水または湯茶を出しておいて、通行の修行僧にふるまったり、宿泊させたりすること。また、寺で貧しい人や参詣人に無料で食物を与えること。門茶(かどちゃ)。《 季語・秋 》
      1. [初出の実例]「すでに四月一日よりは、比丘僧ありきせず、諸方の接待、および諸寺の旦過、みな門を鎖せり」(出典:正法眼蔵(1231‐53)安居)
      2. 「いやな男にも、摂待(セッタイ)施主じゃとおもふて、お茶たててふるまふてやり給はば」(出典:浮世草子・傾城色三味線(1701)京)
      3. [その他の文献]〔仏祖統紀〕
    3. 一般に、湯茶、酒、食事などをふるまうこと。
      1. [初出の実例]「接待の甘酒だのおでんだの汁粉だのの屋台が処々に設けられて」(出典:少年(1911)〈谷崎潤一郎〉)
  2. [ 2 ] ( 摂待 ) 謡曲。四番目物。観世宝生金剛喜多流。宮増(みやます)作。奥州の佐藤継信の館に山伏姿の義経主従が立ち寄る。母の老尼と継信の遺児鶴若が一行のそれぞれの名を言い当てたので、弁慶は身分を明かし、老尼の求めに応じて継信・忠信兄弟の八島合戦における活躍を語る。幸若舞の「八島」と同じ題材

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普及版 字通 「接待」の読み・字形・画数・意味

【接待】せつたい

待遇。〔三国志、呉、陳表伝〕表、戰士の力を得んと欲し、を傾けて接待す。士皆愛附し、用令を爲すことを樂しむ。

字通「接」の項目を見る

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改訂新版 世界大百科事典 「接待」の意味・わかりやすい解説

接待 (せったい)

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の接待の言及

【もてなし】より

…引出物。また入湯や寝所の設備が大きな要件となることもあり,一般に客人の供衆への接待も,もてなしの厚薄にかかわる。 これらの効果は,場面に応じて多様であり,ときには,たとえばいろりに投ぜられる木が最大のもてなしにもなるが,一般には,この諸分野の多くに格式が整い,諸階層とも,その作法への習熟が求められた。…

※「接待」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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