改訂新版 世界大百科事典 「宮嶋資夫」の意味・わかりやすい解説
宮嶋資夫 (みやじますけお)
生没年:1886-1951(明治19-昭和26)
小説家。東京生れ。本名信泰。小学校高等科に学んだ後いろいろな職業を転々としたが,1913年《近代思想》を通じて大杉栄,荒畑寒村らと交渉をもつようになり,みずからの労働体験をもとに大正労働文学の代表作《坑夫》(1916)を発表。その後大杉と隔たり享楽的な生活に入ったりしたが,第1次大戦終了ころから文筆活動に入り,小説集《恨みなき殺人》(1920),《犬の死まで》(1922),自伝《裸像彫刻》(1922),評論集《第四階級の文学》(1922)などを刊行,アナーキズム運動にも従事した。しかしその後はしだいに作品数が減少し,30年より禅門に入り,戦後は浄土真宗に帰依した。没後自伝《遍歴》(1953)が発表されている。
執筆者:佐藤 勝
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報