権輿(読み)ケンヨ

デジタル大辞泉 「権輿」の意味・読み・例文・類語

けん‐よ【権×輿】

《「権」ははかりのおもり、「輿」は車の底の部分の意で、どちらも最初に作る部分であるところから》物事の始まり。事の起こり。発端
国家の―を穿鑿せんさくする」〈逍遥小説神髄
《「けねん(懸念)」の音変化「けんにょ」を「けんよ」の連声れんじょうと誤解してできた語》気がかり。心配
[類語]始め始まり起こりもと発端ほったん端緒濫觴らんしょう嚆矢こうし起源根源源流本元物種温床源泉糸口とば口取っ掛かり手掛かり足掛かり道を付けるまず最初第一一次原初手始め事始め優先一番しょぱないの一番真っ先先立ち先頭当初初期初頭始期早期劈頭へきとう冒頭出出でだ滑り出し初手出端ではなはなはし口開け取っ付きあたまのっけスタート取り敢えず差し当たりひとまず当座序の口皮切り第一歩第一声始まる始めるトップ初発開始幕開き開幕立ち上がり口切り最優先何をおいても何はさておき何はともあれ口火を切る先ず以て

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精選版 日本国語大辞典 「権輿」の意味・読み・例文・類語

けん‐よ【権輿】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( ━する ) ( 「権」ははかりのおもり、「輿」は車の物を載せるところ。中国では、はかりも車も最初そこから作り始めるのでいう ) 物事のはじまり。事の起こり。はじめ。発端。濫觴(らんしょう)。また、そこから物事が起こりはじまること。
    1. [初出の実例]「濛濛細雨之後、是春発之権輿也」(出典:本朝文粋(1060頃)八・春生霽色中詩序〈源順〉)
    2. 「此時同家の仄(ほのか)天職に昇進す、是当郭天職の権与(ケンヨ)なり」(出典:評判記・色道大鏡(1678)一二)
    3. [その他の文献]〔詩経‐秦風・権輿〕
  3. ( 否定表現を伴って用いられる語 ) 気がかり。心配。また、きざし。気配。けんにょ。→権輿もない

けん‐にょ【権輿】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「けんよ(権輿)」の変化した語 ) きざし。そぶり。気配。また、気がかり。心配。けんよ。けんにょう。
    1. [初出の実例]「刀ののり、押しぬぐひ押しぬぐひ袖におさめし顔かたち、けんにょなりふり引つくろひ物音うかがひ立たるは」(出典:浄瑠璃・平家女護島(1719)三)

けん‐にょう【権輿】

  1. 〘 名詞 〙 「けんにょ(権輿)」の変化した語。
    1. [初出の実例]「のり出したるふねけんにょうきれて、むねしばらず」(出典:俳諧・毛吹草(1638)二)

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普及版 字通 「権輿」の読み・字形・画数・意味

【権輿】けんよ

萌生え。もののはじめ。〔詩、秦風、権輿〕於(ああ)我や 夏屋(礼食大具)渠渠(きょきょ)たりしに 今やふと(いへど)も餘り無し 于嗟乎(ああ) 輿を承けず

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