ロシアの小説家,劇作家。ヨーロッパ・ロシア中部の町オリョールに生まれた。モスクワ大学法学部を卒業,弁護士の助手として働いている間に,新聞社から裁判記録執筆の依頼を受けたのがきっかけで作家活動に入った(1898)。ゴーリキーの推奨もあって,またたく間に流行作家となり,1905年をピークとして,当時ロシアでは最も人気のある作家のひとりであった。その作品は当初の写実的な傾向から,表現主義的ないしは象徴主義的な作風に転じていった。もともと憂鬱症気質であったうえ,ショーペンハウアーの影響もあり,全体としてペシミスティックな傾きを示す。死と性の問題をめぐって,生の意味,存在の意味を問う作品が多い。戦場における恐怖を扱った《赤い笑い》(1904),ともされた1本の蠟燭に人の一生を象徴したドラマ《人の一生》(1907),テロリストの暗殺未遂事件を題材とした《七死刑囚物語》(1908)などがある。10年代に入るや,創作力はとみに衰え,17年の革命の際には,白衛軍を支持して,反ボリシェビキ運動に加わったが,失意と落胆のなかで病におかされ,間もなく世を去った。日本では,明治末期から大正年代へかけて,集中的に翻訳,紹介された。生理や肉体の状態,あるいは意識を通じて人間を描く手法は,現代人の不安を,また重い実存感覚を伝える真新しい手法として受けとめられ,夏目漱石,志賀直哉など,その影響を受けた作家は意外に多い。
執筆者:小平 武
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化学式 CH4 。最も簡単なメタン系炭化水素で,天然ガスの主成分をなしている。また石炭ガスにも 25~30%含まれる。有機物の分解,たとえばセルロースの腐敗,発酵の際に生成され,沼気ともいわれる。また...
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